なぜBtoB企業のウェブマーケティングは難しいのか

BtoBウェブマーケ

こんにちは。WebアナリストのNakajiです。

本記事ではBtoB企業のアクセス解析やWebコンサルティングを年間30社以上の顧客に対して提供している筆者が、BtoB企業でウェブマーケティングを行っている担当者の方向けに、BtoB領域におけるウェブマーケティングの難しいポイントと、その解決方法をお話します。

BtoB企業のWebマーケティングの難しさ

近年では新型コロナウィルス拡大の影響で、展示会やセミナーなどのオフラインのリード獲得の機会が減少しているのは存じのとおりです。そしてその代わりに自社サイトへの集客やウェビナーといった、オフライン集客施策にBtoBビジネスはシフトしてきています。

ただ、BtoCのサービスサイトやECサイトと、BtoBサイトでの集客やリード獲得では異なる難しさがあります。

Webでのコンバージョンの価値を可視化しにくい

まず、BtoBではWebサイトに集客してお問い合わせやホワイトペーパーのダウンロードなどの、オンラインでのCVが売り上げと等しくなるわけではありません。その後、獲得できたリストに対して営業担当者がアプローチを行い、具体的な提案を経て発注に至ります。

では、Webサイトでのお問い合わせやホワイトペーパーのダウンロードは企業のビジネスに対してどれだけ影響を及ぼしているのでしょうか?もっと言うと、広告でサイトに流入させた1ユーザーはどれだけの価値があるでしょうか?

BtoBのウェブマーケティングでは、企業のビジネスゴールから逆算して、Webサイトでのユーザーの行動の価値を可視化していく必要があります。

サイトへの流入数やCVの絶対数が少ない

また、BtoBビジネスのオンライン集客においての難しさは、BtoCビジネスに比べて、サイト上でのお問い合わせ数や資料請求数の絶対数が少ない、ということも挙げられるでしょう。

例えば、健康食品のECサイトであれば、20代を過ぎて健康について悩まない人はなかなかいません。ECサイトで商品を購入するハードルの高さを考慮に入れても、そのターゲット(顧客となりえる)ユーザーは、国内だけで数千万人はいると言って良いでしょう。

一方で、BtoBビジネスで考えると日本の企業数を約550万社とすると、すでに健康食品ECサイトの見込み顧客数を大きく下回っています。更に、自社の商材のニッチさや商材自体の消費期間(健康食品は毎月購入するような商品も多いですね)を考えると、BtoBのオンライン集客では、いかに少ない流入やCVのデータから集客効率を最大化出来るか、という難しさがあるわけです。

BtoB企業がWebマーケティングで成功するためのポイント

さて、では前章も踏まえた上で、BtoBマーケティングにおけるアクセス解析、自社サイトにおける訪問データの活用とCVの最大化をするための考え方をご紹介します。

なお、アクセス解析の他にもBtoBビジネスにおいては、Webで獲得できたリストに対する営業活動の数値化や、リストに対する引き上げを図るECRM施策、その後の売上と集客データの紐付けなど、様々なデータを活用して推し進める必要があります。

しかし、本章では文量の都合もあり、「アクセス解析」という視点にフォーカスを当て、いかにオンラインで完結する「リード獲得」の効率を最大化していくのか、について言及をしていきます。

見込み顧客像を把握する

オフラインでの集客で皆さんが真っ先に思い浮かべるのは、展示会への出展や飛び込み営業などではないでしょうか。展示会にはきまって”テーマ”があり、訪れるユーザーの業種が限定されていましたし、飛び込み営業なら事前に訪問する企業の業種は明確でしたので、オフラインでの集客では自社の見込み顧客像を具体的にイメージする必要はありませんでした

オンライン広告では、一時は幅広いユーザーに対してひたすら広告をばらまくという手法が主流でしたが、近年ではリスティング広告なら顧客のニーズに対応するキーワード、Facebook広告ならばユーザーの年齢性別や興味など、様々なユーザーに向けてよりダイレクトにアプローチが出来るようになっています。その数多の選択肢から最適なメニューを選択するには「どこの誰に対してアプローチをするのか」をより詳細に定義しなければなりません

つまり、明確な顧客像をもっていなければ、これまで通り狙った顧客にアプローチがしにくくなった、ということでもあります。あなたの会社の商材の導入を決定しうる人の性別は?年齢は?趣味は?頭の中に思い浮かんでいるキーワードは?こういった見込み顧客の”ペルソナ”をしっかりとマーケティングチームで共有するところからウェブマーケティングは始まります。

Webサイトでのゴールを可視化する

サイトに訪れる見込み顧客像が定まったら、次は見込み顧客にWebサイトの中で行ってほしいアクション=Webサイトでのゴールを定義します。

ゴールはビジネスのゴールから逆算するとわかりやすいですね。先程あげたリードの獲得も、獲得したリードの中から営業担当者がアプローチをかけ、成約に結びつけるので、Webで完結できる最終到達点が、お問い合わせによるリードの獲得と言えるでしょう。

また、Webサイトでのゴールはその価値を明確にする、というのも非常に重要です。ビジネスのゴール(売上を得ること)ではその単価が明確なので、自社の全体のビジネス状況にWebサイトどれだけ影響を与えているかがわかります。それと同じようにWebサイトでもオフラインでの営業活動に移行した後の受注率と売上を掛け合わせて、Webサイトでのゴール達成1件がどれだけの価値を生むのかを可視化しておきましょう。

マイクロコンバージョンを設定する

Webサイトでお問い合わせが毎日何十件何百件も来たら、どの広告メニューが良いのかを比較するのにそう苦労はないですよね。しかし、月にお問い合わせが1件しか無い場合、どの広告メニューが優良な顧客を引き入れているのかを統計的に判断することはとても難しくなります

これが前章でもお話したBtoBマーケの難しさの1つであるCVの少なさであり、ニッチで小さい市場をターゲットにした商品であればその難しさはより顕著になります

その問題を解決するために、”マイクロコンバージョン”と言われる、Webサイトでのゴールの一歩手前まで訪れさせたことを評価する、という考え方があります。

例えば、お問い合わせが完了するには、お問い合わせフォームに情報を入力する必要がありますよね?であれば、何かしらの理由でお問い合わせには至らなかったけれども、商品に興味をもってフォームまで来てくれた人を獲得できた広告メニューを評価する、というような方法を取るわけです。

お問合せフォームへの到達であれば、お問い合わせ完了よりも獲得できる可能性(CVR)はグッと高くなると思いますし、その数値で差が出てきたら、マイクロコンバージョンの差もって広告メニューの検討材料とすることもできます。(他にも様々な要素があるため、全てをマイクロコンバージョンだけで判断するのは危険ですが、広告メニューの最適化の一助にはなるはずです。)

最後に

BtoBマーケティングでのアクセス解析は、BtoCとは異なり「商品の販売」などのWebサイトでの効果が見えにくくなりがちですが、自社の商材と顧客に目を向けサイト内での見込み顧客のアクションがどのように売上に紐付いているのかを意識して可視化することで、よりWebマーケティングの効果を高めることが出来るので、ご紹介した施策や設定を実施してみてくださいね。

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